スティーブンコーチのレポート

このレポートは里谷選手のプライベートコーチであるスティーブン氏が記したものです。

スティーブンコーチのレポート1

ひねりと宙返りのトレーニング

キャンプ期間 2005年3月26日〜4月13日
ロケーション ホノルル、ハワイ州

新シーズンの初回キャンプでは来年のジャンプへ向けてひねりと宙返りのトレーニングを継続しました。その他にジムで、よりバランスの取れた体作りも目指しました。体力づくりは週に6日、技術トレーニングは週に5日行いました。午前中のジムでは、午後のトレーニングに支障が出ない範囲で体の軸部分を鍛えることに重点を置きました。まずはランニングで体を温めてから体の軸を鍛えるトレーニング、そして筋肉を鍛えるためのウェイトトレーニング、ストレッチという順で行いました。午前中のトレーニングはおよそ2時間、午後はだいたい3時間から4時間のトレーニングと、トランポリンによる強化も行いました。
 
選んだ技のメニューによって里谷の能力を躍進させ、来シーズンに使おうと予定しているジャンプへの自信へとつなげる事が出来ます。最初数回のトレーニングはトランポリンと宙返りの基礎を再構築することに費やしました。里谷のレベルが十分になったら新しい技へと進み、少なくとも今回のキャンプ中に4回は進歩することが出来たと思います。新しい技を覚えるにあたっては:
 
(a.)最初は、安全綱に強く繋げられている安全ベルトを装着して、選手を補助するようにして
(b.)徐々にロープを延ばして安全ベルトを緩め、選手がもう少し楽に動けるようにする
(c.)選手が何度かうまく出来るようになったところで、安全ベルトを外してコーチが手で補助する
(d.)最後に選手が十分に技を習得して自分だけで行えるようにする
(e.)完成。

 
以後、里谷の各技の状態を説明する際は以下のカテゴリーを使用します。
 
(a.)レベル1
(b.)レベル2
(c.)レベル3
(d.)レベル4
(e.)レベル5

 
【トランポリン技チャート】
※現段階でのレベル
レベル 特徴・種類
フロントタック 5 1前宙返り
フロントパイク 4 1前宙返り
フロントレイアウト 4 1前宙返り
バックタック 5 1後ろ宙返り
バックパイク 4 1後ろ宙返り
バックレイアウト 4、5 1後ろ宙返り
バックフル 3、4 1後ろ宙返り+1ひねり
ブラニー(1 1/2ひねり) 1、2 1前宙返り+1.5ひねり
バックダブルフル(2ひねり) 2 1後ろ宙返り+2ひねり
ダブルバックタック 2 2後ろ宙返り
フリップス 1 2前宙返り+0.5ひねり
 
現段階で最も難易度が高いトランポリンの技はバックダブルフルと言えるでしょう。トランポリンのスタッフやコーチによると里谷は元々ひねる能力が優れているということで、このバックダブルフルや他のひねりがある技を練習する事は来シーズンのために必要なことでもあります。弱点は、これまでと同様に宙返りです。腰を強化するトレーニングをしてダブルバックタックをする際の宙返りを安定させるようにしています。この2キャンプの間の目標は健全な生活を送り、体の軸を鍛えることです。このオフシーズン中にジムで鍛えてより高いレベルに持っていく時間はあります。里谷は今の所とても前向きな姿勢で、諸問題とは反対にトレーニングに集中できています。トランポリンの技術が向上していることにも本人が大変満足しているため自信をますます持てるようになっています。里谷がこの短期間にこなした宙返りの量は、スキーで行おうと思ったら何ヶ月も何年もかかるような量です。
 
次回のキャンプでのトランポリンでの目標は6月に行う予定のウォーターランプキャンプに向けて技をより確固たるものにすることです。今よりもより完璧にこなせる回数を増やし、継続して確実に技を行えるようなレベルに持っていく必要があります。
 
■次回キャンプでの目標
 
【トランポリン技チャート】
※次回キャンプでの目標レベル
レベル 特徴・種類
フロントタック 5 1前宙返り
フロントパイク 5 1前宙返り
フロントレイアウト 5 1前宙返り
バックタック 5 1後ろ宙返り
バックパイク 5 1後ろ宙返り
バックレイアウト 5 1後ろ宙返り
バックフル 3、4 1後ろ宙返り+1ひねり
ブラニー(1 1/2ひねり) 3 1前宙返り+1.5ひねり
バックダブルフル(2ひねり) 2 1後ろ宙返り+2ひねり
ダブルバックタック 3 2後ろ宙返り
フリップス 2 2前宙返り+0.5ひねり
1 2前宙返り+1.5ひねり
フロントフル 1 1前宙返り+1ひねり
フロントダブルフル 1 1前宙返り+2ひねり
 
今回のキャンプでは里谷のモチベーションが高いということも判明し、とてもいいキャンプでした。次のオリンピックシーズンまでに里谷のジャンプの難易度を更に高いものにすることも出来るのではと期待しています。
 

以上

スティーブン・フィアリング
国際フリースタイルスキーの前メンバー。
カナダスキーチーム、日本スキーチーム、日本オリンピック委員会、
韓国スキー協会でコーチを経験。
1994年に来日。
日本語も堪能で文化もよく理解している。